学校を卒業して、とあるゼネコンに入社した。

今から約20年ほど前のことだ。
具体的に言うと500円硬貨が出回った年だ。

最初、本社で3ヶ月の業務研修があり、その後同期入社約80名は全国7ヶ所の各支店に配属となった。
宿舎となったアパートは、2階建てで4戸入り。
2階建ての一戸建て住宅が4軒繋がっているような形状。
1階に台所と居間、風呂とトイレ。
2階に8畳と6畳の和室が二つ。
一番東の空き室だった4号室を借りて宿舎にしており、残りの3件はごく普通の家族が住んでいた。

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うちの隣は3号室。
30代の夫婦、子供2人。
その西側は2号室。
30歳くらいの奥さんで子供なし、旦那の顔は見たことない。
昼は留守がち。
一番奥は1号室。
40代の夫婦、子供3人。
近々新居を建てて引っ越す予定だとか。

さて、発端は7月の週末前日、炎天下の中、アパートの物置の片付けを始めた時だ。
中身を全部出して分別し整理していた時、突然背後から声が掛かった。

「こんにちわ、暑いですね」





振り返るとすぐ後ろに普段あまり見かけない2号室の奥さんが立っていた。
間近で見ると見事にスマート。
髪はショートカットで、白いノースリーブのワンピースを着ている。
年の割に可愛い感じ。
突き出た胸とくびれた腰が目を引く。
一目見て好感を持った。
こちらも汗を拭いながら答える。

「こんにちわ、お出掛けですか?」
「いいえ、今帰ってきたんです。夜勤明けで」

「看護婦さんですか?」
「ええ、駅前の◯◯病院にいるんですよ。それ、大工道具ですか?」

俺が並べていた工具類を見て奥さんは尋ねた。

「私が実際に大工仕事する訳ではないんですが、細かな補修や手直しなんかはどうしてもやらなきゃなんないもんで」

「実はね、こないだ買った書棚があるんだけど、まだ組み立ててないんだよね。うちの主人は単身赴任だし、週末に帰ってきても、その手のことがまるっきりだめで」

旦那が単身赴任で奥さんが看護婦、そりゃあ滅多に出くわさないわけだ。
ここはひとつ近隣サービスに努めなければなるまい。
あえて言うが、この時下心が全くなかったと言えば嘘になる。
だが、20歳の俺にとって30歳は“おばさん”であった。
おばさんは余程のことがなければ性の対象にはなりにくい。
ましてや社名を背負っているのだ。
滅多なことはできない。

「夕方で良かったら組み立ててあげますよ」
「これからひと眠りしますから、夜でもいいかしら?」

「ええ、かまいませんよ、7時でも8時でも」
「お願いしますね」

そう言うと奥さんは汗を拭きながら家に入っていった。
細い足がちらりと見えた。
きれいなふくらはぎだ。




その夜、仕事を終えて約束通り2号室を訪ねた。
もちろん下心はない。
なぜなら仕事の延長だからだ。
とりあえず必要と思われる工具道具を抱えていた。

ベルを押すと「は~い」と返事が。

「4号室の◯◯建設です」とインターフォンに向かって告げる。

「今開けますね」

ガチャリと鍵を外す音。
ドアが開けられ、そこに優子さんが立っていた。
黄色いTシャツにグレーのショートパンツ、すらりと伸びた綺麗な素足、髪は洗いたてなのか濡れていた。
これでも十分に股間を刺激するが、驚いたことに化粧のないスッピンの顔。
だが、見惚れている訳にはいかない。

「すみません、仕事が遅くなってしまって」
「いえ、こちらこそ、夜分にごめんなさい」

「それで、組み立てるのはどちらに?」
「どうぞ上がってください。2階にあるんです」

6畳和室に置かれていたのは梱包も解いてない書棚。
高さ1.8メートル、幅80センチ、奥行25センチのもの。
こんなものはドライバーだけで組めるだろう、普通は。
部屋の中はエアコンが効いていて涼しい。
ここは書斎らしい。
机があり、書籍が乱雑に積んである。
隣の8畳間は寝室らしい。
取り込んだ洗濯物がちらりと見えた。
梱包を解き、てきぱきと30分ほどで組み上げ、奥さんを呼んだ。

「できましたよ、どこへ置きますか?」

エプロン姿で上がってきた優子さんと二人で本棚を部屋の隅に設置した。

「ありがとうございます。ご飯食べてってくださいね」

組み立てに神経を使っていたので、下から漂うカレーの匂いに気づかなかった。
ここで気を遣って遠慮するつもりは無い。
あつかましくも御相伴にあずかることにした。
優子さんは大きい皿にカレーを山盛りにして出してくれた。
食事中、色々と話をした。
出身地(北海道)のこと、今年入社したばかりの新人であること、明日は土半で午後から吹田に帰ること、その帰宅経路を聞くと優子さんはちょっと顔を曇らせて言った。

「遊びに行くのはいいけど、病気には気をつけてね」

その時は何のことだか判らなかったが、後日、主任に途中の乗換駅の上にソープ街があると教えられた。
優子さんはそのことを言っていたのだ。
食事も終わり、そのお礼に本を移動して棚に収めた。
その日は何事もなく10時には帰宅し、風呂に入り、優子さんの姿(特に足)を思い浮かべながらオナニーし、眠りに落ちた。
その日以来、優子さんは俺のオナペットになったのだ。

さて、強烈に暑い夏の最中、お盆の連休がやってきた。
土曜日から木曜日までの6連休である。
給料の使い道が限られている上に残業代がかなり支給されたので懐は結構暖かい。
ただ故郷に帰るのも煩わしい。
そこで前日はここに一泊し、連休初日にあちこち道草食って吹田に帰ることにした。
梅田に寄って映画も見たいし、模型屋や画材屋も寄りたいし、家電屋や紀伊国屋書店にも行きたい。
さらに例のソープ街にも寄ってみようかと考えたが、ぼったくりに合うのもいやなので、ここは地上に出ないで素通りすることに。
そして連休前日、金曜日なのに所長も主任も俺も早上がり。
このあたり、現場の裁量でどうにでもなるのだ。

「後は頼んだぞ~、あんまりはめ外すなよ」

「お疲れ様でした~」




俺は午後からアパート中の掃除をし、洗濯をして、さらに米以外の食材を使い切るべく、晩飯の準備を始めた。
手っ取り早くシチューを作り始めたが、野菜がちと多すぎる。
今夜と明朝で食いきれる量ではない。
5日も留守にするので冷蔵庫は空にしておきたい。
吹田に持って帰るのも面倒だ。
だいたい吹田の寮には冷蔵庫がない。
そこで隣近所にお裾分けすることにした。

ところがだ、いざ野菜を抱えて隣の3号室に行ってみると、すでに留守である。
さらに1号室も留守。
2号室に行くと優子さんが出てきた。
相変わらず綺麗な足にどぎまぎしたが、気を落ち着けて話を聞くと、1号室は帰省し、3号室は旅行で両方とも今日から不在らしい。
夫婦2人で賞味期限内に食いきれるかどうか不安だったが優子さんに野菜を託した。
旦那さんは明日の夜に帰って来るそうだ。

「ちょうど棚を付けたかったんだけど、どうも上手くできなくて、やってくれません?」
「お安い御用です。夕方で良いですか?」

「ええ、どうせならうちで夕食を食べたらどう?」
「そうですね、シチュー抱えてお邪魔します」

その夜、シチュー鍋と大工道具を持参して2号室を訪ねた。
出迎えた優子さんは白いTシャツとベージュのショートパンツ姿。
前回とあまり変わらない服装だが、今回は歩く度にオッパイが揺れている。
しかも薄っすらと乳首が透けてるよぉ。
ひょっとしてブラジャー着けてない?
俺の意志とは無関係に股間は勃起。
今夜は珍しく薄化粧している。
前回スッピン顔を見られて恥ずかしかったのか?
さて、棚の取り付けを終えて、またしても他人妻と二人で夕食。
出してくれたビールで乾杯。
俺の作ったシチューは美味しいと喜んでくれた。

「今晩からこのアパートに一人だけになるかと思って、すっごく怖かったの。◯◯君がいて助かったわ」
「そんな大袈裟な、夜の病院の方が怖そうですよ」

「それは仕事だから平気だし、もう慣れてるわ」
「でも旦那さんがいない時は一人でしょ。今日が特別という訳じゃないでしょうに」

「えっ?知らないの?台風が来てるのよ」
「げっ!俺、台風に直面するの初めてなんです。あんまり役に立たないかも」

「男手があるだけで違うものよ」

ここで注釈。
神戸なのに標準語なのは、記憶を頼りに書いているからです。
しかも関西を離れてかなりの年月が経っているので関西弁はきれいに忘れています。

さて食後、ソファーに移り飲み直すことに。
優子さんは色々な摘みを出してくれた。
その中でも一番気に入ったのは旦那さんの実家から送ってきた辛子明太子。
初めて食べた。
美味である。

二人で酒を飲みながら色々と話した。
優子さん自身は栃木県の出身だそうで、東京の看護学校に進み、栃木の病院に勤め、その時、医療機器メーカーにいた旦那さんと知り合ったそうだ。
その後、旦那さんの神戸転勤を機に結婚退職し、ここに来て新婚生活を始めた。
いずれ一戸建てを買うためにと、駅前の病院でパート勤務で看護婦を再開したものの、いつの間にか本採用になり、今や古株。
しかも旦那さんは姫路支店開設のため単身赴任。
ここ2年ほど変則的な生活が続いているそうだ。

優子さんの身の上話や愚痴を聞いているうちに、時間は過ぎ、心なしか外の風音が大きくなったような気がした。

「なんか、本格的に荒れてきたんですかねぇ?」

「これぐらいでは、まだまだ本格的じゃないよ」

「なんか怖いような、ワクワクするような変な感じです」

突然激しい雨音が聞こえた。
二人して天井を見上げる。
ここは一階なのに聞こえてくる雨音。
かなりの土砂降りなのであろう。
しばし沈黙の後、優子さんがいきなり言った。

「あなた、弟みたい」

「えっ、弟さんいるんですか?」

「ううん、いないけど、もしいたら◯◯君のような可愛い弟が欲しいな、と思ってね」

(こ、こ、これはひょっとして誘いの言葉か?)

普段なら恥ずかしさが先に立ってつっけんどんな返事を返すのだが、今回は酒が入っていて大胆に(あつかましく)なっていた。

「俺も姉はいないけど、奥さんのような姉さんが欲しいですね」

「ねえ、今日だけ弟になってくれない?」

優子さんの瞳がなんか変。
酔ってるのか?

「旦那の留守に知らない男の子を家に入れるのは変だけど、弟なら問題ないよねぇ」

(なんか無理に自分を納得させてませんか?)

「ところでさ、◯◯は、どうやって性欲の処理してる?」

いきなり呼び捨てになった。
弟扱いされるのは嬉しいけど、いきなりどぎつい質問を浴びせられた。
しかも一番答えにくい質問だ。
まさか優子さんをオナペットにしてると本人には言えない。

「そ、そりゃあ、まあ、・・・自分で・・・相手もいませんし」

(しどろもどろで答える俺の反応を楽しんでませんか?)

「なにしろ彼女を作る・・・暇もないです」

「そうなの?若いのに可哀想ねえ・・・なんなら私が相手してあげようか?」

今さっき姉弟って言ってたのに、優子さん、矛盾するほど酔ってますね。

「いいわ、今夜だけ◯◯に添い寝してあげる。なんたってお姉ちゃんだもんね」

飛躍した理論を展開しながら俺の横に座り直し、ぴったりくっついて、さらに俺の太股を撫で始めた。
勇気を出して(ほろ酔いも手伝って)、優子さんの手を握りながら俺は言った。

「添い寝だけですか?俺、溜まってるんですけど・・・」

「・・・私の中に射精したいの?」

いきなり専門用語で問いかける優子さん。
瞳には怪しい光が。
その言葉だけで俺の股間は激しく勃起した。

<続く>



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